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令和4年12月定例会 代表質問「京都府北部地域の医療体制について」

●令和4年12月定例会 代表質問「京都府北部地域の医療体制について」

12月8日に行われました代表質問にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<一般質問の項目>
・令和5年度予算編成方針について
・大阪・関西万博に向けた取り組みについて
・丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録について
・京都丹後鉄道について
・府北部地域の医療体制について

今回は、「京都府北部地域の医療体制について」の質問を掲載させていただきます。

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(質問)
それでは次に、京都府北部地域の医療体制についてお伺い致します。

京都府における人口10万人当たりの医師数は全国トップクラスであるものの、京都・乙訓医療圏が全国平均を大きく上回っているのに対し、他の医療圏では全国平均を下回っており、地域偏在が大きい状況にあると言えます。とりわけ、丹後地域における医療体制の充実は今なお大きな課題であり、京都府の果たすべき役割は非常に大きいと考えております。

京丹後市立弥栄病院では、毎年150件以上の分娩がありますが、平成18年には医師不足により1年間分娩ができない状況となり、また、平成31年3月に産婦人科医の急逝(きゅうせい)により分娩の取り扱いが制限されました。令和元年6月1日に新たな常勤医が着任されましたが、丹後地域の医師確保について厳しい状況を物語る出来事でございました。

その様な状況の中、京都府では、丹後地域を含む北中部地域の医師を確保するため、地域医療機関での従事等を条件とした「地域医療枠」の学生への奨学金制度の創設、北中部地域の勤務経験者に対する府立医科大学大学院の学費免除による若手医師の確保などの対策を行ってきていただいております。

また、令和2年に策定された京都府医師確保計画では、医師確保の具体的な施策として、医師の派遣調整やキャリア形成プログラムの策定、京都府立医科大学医学部における地域枠の設定などが掲げられております。
本年8月に行われた京都府医療対策協議会において、京都府キャリア形成プログラムについて、令和5年度の入学者から従事要件の9年間のうち医師の確保を特に図るべき区域における就業期間を4年程度とするといった改定が示されたとお聞きしました。

そこでお伺い致します。
京都府として、医師確保はもちろんのこと、医師の地域偏在に対して、今後どのような展望をもって取り組もうとされておられるのか、ご所見をお聞かせ下さい。

次に、妊産婦モニタリングシステムについてであります。
このシステムは、府域全体において、総合周産期母子医療センターを中心に、地域の中核病院や一般病院が連携し、これらの病院に入院されている妊産婦の状態を共有することで、診療に対する助言や救急時の受入準備等を行うものであります。

例えば、丹後地域におきましては、総合周産期母子医療センターや京都府立医科大学附属北部医療センターが、弥栄病院の妊産婦の状態をリアルタイムに把握をし、産科医師をバックアップすることで、妊産婦が安心して適切な診療を受けることできるようになります。

この事業は医師確保対策だけでなく、西脇知事が掲げられる「子育て環境日本一」にもつながる事業であると考えており、期待をしております。

そこでお伺い致します。
私からは、本年6月定例会の総括質疑でも質問をさせていただきましたが、この妊産婦モニタリングシステムは、令和5年1月に試行運用を開始予定とお聞きしております。具体的にどのような地域で導入されるのでしょうか。また、試行運用とのことですので、今後の展開をどのように考えておられるのかご所見をお聞かせ下さい。

次に、看護師の確保対策についてであります。
新型コロナウイルス感染症により、医療の重要性は再認識されましたが、特に看護師の方々のご貢献が如何に大きいのか、実感された方が多いのではないでしょうか。
令和7年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるなど超高齢社会を迎え、医療・介護・福祉への需要が増大する中で、京都府が令和7年に向け必要となる看護職員の需給を推計するため令和2年3月に行われた調査によると、令和2年12月時点で、京都府の看護職員は35,065人であるのに対し、令和7年の需要は42,512人となっております。

また、京都府ナースセンターの調査によると、二次医療圏ごとに病院の採用予定数に対する看護師の充足率は、令和3年度の京都府平均は79%であり、京都市83%、乙訓70%、山城北76%、山城南90%、南丹60%、中丹86%、そして丹後が42%であります。

丹後医療圏における看護師の充足率は、京都府平均の約半数になっており、医師不足もありますが、丹後医療圏においては看護師不足も大きな課題であります。

そこでお伺い致します。
医師確保と同様に、看護師確保対策も重要な取り組みであると考えております。令和7年に向け、京都府の看護師確保をどのように進めていくのか、また厳しい状況にある丹後医療圏の看護師確保対策をどのように進めていくのか、ご所見をお聞かせ下さい。

次に、京都府立医科大学附属北部医療センターについてであります。
先日、府立医科大学の150周年の記念式典が行われました。京都府立医科大学の前身である京都(きょうと)療病院(りょうびょういん)は、廃仏(はいぶつ)毀釈(きしゃく)の風潮と戦乱後の疲弊感の中で社会事業に活路を見出そうとしていた、岡崎(おかざき)願(がん)成寺(じょうじ)住職与謝野(よさの)礼(れい)厳(ごん)など、4名の僧侶らが発起人となり明治5年に設立されたとのことであります。

発起人の一人である与謝野礼厳は、生まれが現在の与謝野町温江であり、加悦にある浄福寺にて修行後、京都へ移ったとされております。また、歌人である与謝野鉄幹の父親であることでも知られております。

平成25年に、京都府立与謝の海病院が廃止され、京都府立医科大学附属北部医療センターとなりましたが、与謝野礼厳のご尽力に想いを馳せた時に、与謝の海病院が府立医科大学附属病院として生まれ変わったことも、何かのご縁を感じる出来事であります。150年前の先人のご尽力に心から感謝するとともに、京都府の皆様とともに、引き続き京都府の医療をしっかり発展させていかなければならないと感じております。

北部医療センターは、北部地域の中核病院として、丹後医療圏の医師確保や高度急性期から急性期の医療を担っているだけではなく、最近では、宮津市と連携し、医療MaaSの実証実験を始められるなど、診療所医師が少ない丹後地域の在宅医療をも支えていただいており、地域医療を確保する上で重要な役割を果たしていただいております。

令和3年2月定例会の私の代表質問でも、少子高齢化の進行や医療のデジタルトランスフォーメーションが進む中で、地域の中核病院として相応しい施設とするための建て替えが必要だとの考えをお伝えしてきました。

そこでお伺い致します。
令和4年度の当初予算の、「北部医療センター基本構想策定調査費」において、北部医療センターが担うべき役割や機能について、老朽化への対応も見据えながら、検討を進めていくとのことでありましたが、検討状況はいかがでしょうか。また、北部医療センターの機能強化へ向けた取り組みの展望についてご所見をお聞かせ下さい。

(答弁)

 北部地域の医療体制についてでございます。
医師確保につきましては、京都府立医科大学に北部地域での勤務を条件とした推薦入試による地域枠を設置したり、奨学金制度を創設するなど、これまで様々な対策を実施してまいりました。

その結果、北部地域における人口10万人当たりの医師数は、平成22年から令和2年までの10年間で15.4%、とりわけ丹後圏域では32.3%増加しているものの、北部地域の人口10万人当たりの医師数は全国平均を下回っており、医師の地域偏在は依然として大きな課題でございます。       

 このため、令和元年度に策定した「京都府医師確保計画」においては、患者受療率や医療機関までの所要時間などの京都府独自の医師偏在指標を考慮し、丹後医療圏の全域及び中丹、南丹医療圏の一部について、医師を重点的に確保する地域と明確に位置づけて対策に取り組んでいるところでございます。 

  今後、更に丹後医療圏等の医師を増やしていくためには、地域医療の重要性と魅力を理解いただけるよう取り組みますとともに、地域に勤務していても、専門性の向上やキャリア形成が可能な研修環境を整備していく必要があると考えております。

 そのため、今年度から、京都府立医科大学と連携し、学生時代から地域医療を体験し理解を深めるための地域医療体験実習や、地域枠医師等が医師少数地域で勤務しながら専門医資格を取得できるプログラムを設けるなど、医師の地域偏在対策を強化したところでございます。

こうした取組を進めることで、地域における安定的な医師確保を図ってまいりたいと考えております。

次に、妊産婦モニタリングシステムについてでございます。

  産婦人科医師の確保については、全国のみならず、京都府においても困難となっている一方で、晩婚化・晩産化に伴いハイリスク妊娠や低出生体重児の割合は増加傾向にあり、地域で安心して生み育てられる環境を整えていくことが重要となっております。

 このため、今年度は総合周産期母子医療センターと北中部地域・山城地域の地域周産期母子医療センター及び分娩取扱病院に本システムを導入し、入院されている妊産婦の状態を共有しながら、診療に対する助言や救急時の受入準備等を行うこととしております。

 現在、年内に分娩監視装置やサーバーなどの主なネットワーク機器を決定し、1月から順次、運用開始ができるよう進めているところでございます。

  今後、分娩を取り扱う診療所などにも順次システムを導入し、府内のどこででも安心して出産できるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

  次に、看護師の確保対策についてでございます。

 京都府においては、人口10万人当たりの看護師数は1,277人、丹後圏域では1,408人と全国平均の1,241人を上回ってはいるものの、この圏域では50歳台以上の在職者が半数以上を占めており、将来にわたる看護師の確保が課題となっております。

 京都府では、これまで看護師養成所への運営費補助や院内保育への助成などの看護師確保策を進めているところでございます。

 今後、結婚や子育てなどで離職した潜在看護師への再就業支援等により、看護師確保策を更に強化してまいりたいと考えております。

 また、若手の看護師の丹後圏域での就労を促すため、北部地域の医療機関に勤務することを条件とした修学資金の貸与や、当該地域の学校や医療機関を対象とした就学・就業フェアなどを実施し、新人看護師等の人材確保に努めているところでございます。

 与謝野町に設置しております府立看護学校では、毎年、卒業生の7割が北部地域に就職しており、これまでの取組が丹後圏域等の医療人材の確保に繋がっているものと考えております。

 今後も、府立看護学校を中心に、丹後地域をはじめ北部地域のさらなる看護師確保に努めてまいりたいと考えております。

次に、北部医療センターについてでございます。
 丹後医療圏は、京都府内でも特に少子高齢化が進んでいる地域であり、医療従事者の確保や高齢化に伴い増加するがん治療への対応などが課題となっております。

 北部医療センターでは、これまでから医師の増員や診療科の拡充に取り組んでおり、令和2年度には、がん診療棟の運用が開始されますとともに、歯科口腔外科が開設されたところでございます。また、コロナ禍においては、いち早く新型コロナウイルスに罹患した妊婦の分娩にも対応できる体制を整えるなど機能強化を図ってまいりました。

 一方、病棟をはじめ築後45年以上を経過し、老朽化が進んでいることから、今後の医療需要、疾病構造の変化も見据えた整備が必要と考え、昨年7月に地元の市町、医師会、経済界にも参画いただき「北部医療センター病院機能検討会議」を設置して、北部医療センターの経営実態も踏まえて、必要となる医療体制などについて検討しているところでございます。

 この会議は、これまで4回開催し、

一つには、丹後医療圏内での役割分担による高度医療の拡充

二つには、新興感染症にも対応できる体制の確保

三つには、災害拠点病院としての機能の強化

四つには、大学附属病院としての教育・研究機能の充実などに関して御意見をいただいているところでございます。

 京都府といたしましては、病院機能検討会議での御意見も踏まえて、総合医療や高度医療の充実を図りますとともに、病院機能を支える施設整備の検討について来年度当初予算編成での議論を進め、北部医療センターが将来にわたって北部地域の中核病院としての役割が果たせるよう取り組んでまいりたいと考えております。

(答弁への返答)
ご答弁いただきました。

まず、看護師確保対策でありますが、丹後医療圏には、府立看護学校があります。看護学校が担っている役割は大きく、多くの卒業生が丹後地域・北部地域で看護師として働いてくれています。看護師の確保を行っていく上で重要な学校でありますが、近年では、男子学生への対応や授業環境、寮なども含めて時代に合った施設へ整備することが早急に求められていると感じております。ぜひ多くの学生が夢と希望をもって府立看護学校で学びたいと思ってもらえるような施設・設備の整備を進めていただきますよう心からお願い申し上げます。

また、北部医療センターについてであります。令和4年度には、調査費により様々な検討を進めていただいていることに感謝申し上げます。

ぜひ来年度は具体的に基本構想の策定が進んでいきますよう、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 

これで代表質問を終わります。ご清聴いただきありがとうございました。

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