活動報告

農林水産

令和5年12月定例会 一般質問「野生鳥獣被害対策について」

令和5年12月定例会 一般質問「野生鳥獣被害対策について」

12月定例会にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<一般質問の項目>
①頻発する災害等への対応強化について
②京都北部の観光振興について
③野生鳥獣被害対策について

今回は、「野生鳥獣被害対策について」の質問を掲載させていただきます。

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最後に、野生鳥獣被害対策についてお伺いします。

全国でクマの被害が相次いでいます。環境省によりますと、今年4月から11月までの被害人数は、全国で212人となっており、統計開始以来、史上最多を更新しているといわれています。

一方で、京都府内のツキノワグマの個体数は、平成8年から平成12年度の調査により、生息数が丹波・丹後の両個体数あわせて200頭から500頭と推定され、平成14年度に京都府レッドデータブックにおいて、ツキノワグマは絶滅の危険度の高い絶滅寸前種に位置付けられました。

また、これまで、集落にクマが出没した場合には、京都府がその都度、捕獲を許可し、両個体群あわせて、平成30年度は103頭を、平成31年度は170頭を捕殺されています。

特に、人家周辺で被害等の恐れがある場合には、事前に捕獲を許可することで迅速な対応をしていただいております。

こうした状況の中で、令和2年度の推定生息数は丹後個体群で約990頭、丹波個体群で約650頭まで回復したことから、令和3年度に京都府レッドリストが改定され、絶滅寸前種から要注目種に変更され、適切に個体群の維持をしていくこととされています。

そのため、環境省のガイドラインに基づいた捕殺上限数が設けられております。

令和4年度の捕殺上限数は、丹後・丹波両個体群で338頭のところ、捕殺数118頭のため差し引き持越しが220頭となり、その結果、令和5年度クマの捕殺上限数については、丹後・丹波両個体群で446頭とされたところであります。

一方、京都府内のクマによる人身被害は、今年8月の被害を含め、4年連続で合計6件発生しており、クマが本来の生息地ではない人家周辺などに出没する事例も発生しています。

近年では、ツキノワグマの人身被害は令和3年度に1件、令和4年度にも2件発生しています。命に別状はございませんでしたが、4年度のうち1件は、早朝に庭のカキの実を食べていたと思われるクマとの遭遇で重症を負われました。

そうした中、京都府におかれましては、住民からの被害対策への強い要望等に応えられ、被害防止捕獲などを行っていただいているところですが、人身被害を防ぐためには捕獲対策とともに、対策の効果検証のため、ICTを活用した推定生息数のモニタリングと合わせた管理の継続等が求められています。

丹後広域振興局管内におけるクマ出没件数は令和元年度で564件でしたが、令和2年度以降は減少し、令和4年度は532件、令和5年11月末現在では、350件と生息数は減っていないのに出没件数が減ってきているのは、通報されないケースもあるのではないでしょうか。

そこでお伺いいたします。 

住民の安心・安全の確保が一番大切と考えますが、京都府としてクマの被害防止のため、具体的にこれまでどのような対策を取られ、今後どのように取り組まれようとしていますか。

次に、イノシシ、シカについてであります。

農作物被害の多くは、イノシシとシカによるもので、それらの数も増えてきていると聞いております。このため、野生鳥獣対策の柱の一つに捕獲を進めていただいております。

丹後地域の令和4年度の捕獲頭数は、イノシシの有害捕獲頭数513頭で、狩猟の捕獲頭数は165頭、シカの有害捕獲頭数は4,156頭で、狩猟の捕獲頭数は975頭と、すべて合計しますと5,809頭となり、相当多くのイノシシとシカが丹後地域で捕獲されていることとなります。

野生獣害被害の減少に向けては、高齢化を踏まえ、負担を軽減しながら今後も捕獲と防除などを効果的に継続していく必要があるのではないかと考えます。

また、近年ジビエに対する関心の高まりを受け、地域振興のための新たな食材として、ジビエ利用も進んできていると思われます。

森の京都エリアにおきましては、森の京都DMOが中心となってジビエフェアを開催し、ジビエの魅力を発信されているところです。

そこでお伺いします。イノシシ、シカの捕獲や防除の対策について、効率化を目的としたICTの活用を進めていくことが重要と考えていますが、京都府ではこれまでどのような取組をされ、今後どのように取り組まれるのでしょうか。

また、地域振興にも期待できるジビエ利用について、京都府では今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

以上、ここまでのご答弁をよろしくお願いします。

(答弁)

クマ対策についてでございます。

 ツキノワグマの出没による人身被害が全国で相次ぐ中、京都府では、府民生活の安心・安全を最優先に、ツキノワグマの適正な個体数管理と人身被害の未然防止に取り組んでいるところでございます。  

京都府では、鳥獣保護管理法に基づき、平成14年以降、ツキノワグマの狩猟を禁止し、被害防止目的のみ捕獲を許可する保護措置をとってまいりましたが、その結果、生息数の回復が確認されたため、近隣県を含む管理エリアに見直した上で、令和3年度から狩猟を解禁したところでございます。       

狩猟開始に当たって課題となる狩猟者の確保については、長年禁猟していた狩猟者に対し、捕獲活動を促すための普及啓発を行っているところであり、更に、今後は、最新の捕獲技術や安全対策を実地で学ぶ研修会を開催するなど、新たな担い手育成に取り組んでまいりたいと考えております。

人身被害の未然防止に向けては、クマの出没箇所を府のホームページ上に地図情報として公開するとともに、クマを誘因する餌となる人家周辺の不要な果実などを撤去するよう啓発に努めてきたところでございます。              

今後は、周辺住民がより確実に危険回避の行動をとれるよう、クマの目撃者の情報をSNS上でリアルタイムに共有できるシステムの導入に向け、検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、イノシシ・シカ対策についてでございます。

鳥獣による農作物被害は、営農意欲の減退にもつながる深刻な問題であり、京都府では、これまでから、捕獲と防除の対策を実施してきたところであり、令和4年度の農作物被害額は、ピーク時の3分の1以下となる2億1千万円まで減少したところでございます。  

しかしながら、ここ数年は、マンパワーの不足により、集落内での防護柵の維持・管理が困難となり、捕獲数も目標に届いていないことから、被害額が下げ止まっており、防除と捕獲作業の省力化を図る必要がございます。

防除作業の省力化については、鳥獣の侵入箇所を感知する防護柵を府の研究機関で開発しており、被害が深刻な地域を中心に実装を進め、効率的な点検・補修に繋げてまいりたいと考えております。   

捕獲作業の省力化については、見回りの負担を軽減するため、遠隔監視や自動捕獲ができるICTを活用したワナの導入について検討してまいります。 

また、捕獲したイノシシやシカについては、約2割がジビエとして利用され、一部は高級食材として「森の京都ジビエフェア」で提供されるなど、地域の重要な観光資源となっているところでございます。    

今後、ジビエ利用の一層の促進を図るため、高度な衛生管理が可能なジビエ処理施設の整備を支援するとともに、高品質なジビエ肉として利用するための捕獲技術を有する「ジビエハンター」の育成を強化してまいりたいと考えております。

今後とも、市町村や関係団体等との緊密な連携により、野生鳥獣対策に全力で取り組んでまいります。

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