活動報告

農林水産

令和4年6月定例会 総括質疑「京の食 ブランド総合戦略事業費について」

●令和4年6月定例会 総括質疑「京の食 ブランド総合戦略事業費について」

7月22日に行われました京都府議会予算特別委員会・総括質疑にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<一般質問の項目>
・産業創造リーディングゾーン・伝統産業の産地振興拠点の創出について
・「京の食」ブランド総合戦略事業費について
・総合医師確保対策費について

今回は、「京の食 ブランド総合戦略事業費について」の質問を掲載させていただきます。

=============================
(質問)
「京の食」ブランド総合戦略事業費についてお伺いさせていただきます。

平安建都以来千二百年を超える永きにわたり政治・文化の中心として栄えてきた京都では、味のよい新鮮な野菜などが求められ、京料理をはじめとした「京の食」を支える貴重な食材として京野菜などの農林水産物が生産されてきたところであり、これまでから、高品質で機能性の高い高級ブランドとして料亭などの高級料理店で利用されてきました。

しかしながら、コロナ禍により、ご承知の通りではありますが、インバウンドを含む観光客が激減するとともに外出の自粛により外食する機会、特に、宴会などの大人数での会食が制限されたため、今まで観光や外食需要を主としていた料亭や土産物などの売上が急激に低下することとなりました。

一方、外出の自粛とインターネット技術の進歩が相まって、在宅勤務など自宅で過ごす時間が長くなったため、内食(うちしょく)や中食の需要が一気に増加するとともに平日はコストパフォーマンスの高い食事を選択し、休(きゅう)祝日(しゅくじつ)などは非日常を体験できる高級な食事を選択するといった食の二極化が進んだことにより、観光・外食需要を主(しゅ)とした事業者は販売方法やターゲット、商品構成を再検討せざるを得なくなりました。

その他にも、令和2年度に立ち上げられた京都府の危機克服会議では、家族単位が少人数化する中で、中食市場が拡大していること、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された結果、海外マーケットが急速に拡大していること、市場開拓のため食分野でもIT技術を活用する必要があること、健康志向に伴う高機能性食品や安全性の高い食への関心が一層高まっていること、などの点が指摘されているとお聞きしました。

まず基本的なことですが、平成元年からはじまったブランド化事業により、京野菜の名前は今や国内外に浸透していると考えております。しかしながら、近年では大和野菜や加賀野菜など地域ブランドが拡大してきているのも確かです。今回の産学公が連携した新たな付加価値の創出を行う事業では、これまでのブランド戦略とどのような点が違うのでしょうか。「京の食」ブランドをどのように進化させようと考えておられるのかご所見をお聞かせください。

また、危機克服会議の提言を受け、昨年度、京都府では、京の食文化を体現する最高品質の「京都プレミアム中食」の商品開発や付加価値の高い新たな商品やサービスの創出を推進することを目的に京都食ビジネスプラットフォームを立ち上げられました。

京都食ビジネスプラットフォームでは、これまでに、温度管理に関する技術提供企業からの情報提供を受けることに加えて、ワークショップなどが行われたとのことでありますが、どのような議論が行われてきたのでしょうか。京ものブランドサプライチェーンの構築を掲げられておりますが、具体的にどのような事業を行っていこうとされておられるのかお聞かせください。

また、付加価値の高い新たな商品やサービスの創出には、新しいテクノロジーの活用が欠かせません。

けいはんな学研都市では、京都府が地権者である南田辺西地区について、人口増加への対応や健康長寿社会の実現が世界的な課題となっていることを踏まえ、「フードテック」をテーマの最有力候補とされ、エリア開発を行っていくとお聞きしております。

フードテックとは、最新のテクノロジーを駆使することによって、まったく新しい形で食品を開発したり、調理法を発見したりする技術との説明を目にしました。

今回提案されている、京都フードテック検討費では、京都ならではのフードテックにより、府内の農林水産業や食品産業の多様な課題を解決し、京都の食関連産業のブランド力を強化するために、具体的な取り組みを示した構想を策定するとされておりますが、この点が私は重要だと考えております。

つまり、京都府の農林水産事業者、食関連事業者の発展に寄与する取り組みであることが大切だと思います。

先にも質問した「京の食」ブランド総合戦略事業とも関連するかと思いますが、京都ならではのフードテックとはどのようなものなのか、これらを活用して府内の農林水産業をどのように発展させていくのか、ご所見をお聞かせください。

(西脇知事・答弁)

 「京の食」ブランド総合戦略事業費についてでございます。

京都府では、農林水産物の販売拡大を図るため、京の食文化や伝統的な栽培技術などによりブランド化を進め、首都圏の高級志向の消費者をターゲットに、百貨店等での積極的なPR活動を行うことにより需要を伸ばしてまいりました。

しかしながら、近年では全国各地で農林水産物の地域ブランド化が進み、産地間競争が激化しております。また、共働きや単身世帯の増加等に伴い、中食需要が拡大するとともに、健康志向や環境に配慮した食への関心が高まるなど、消費者ニーズも多様化してきております。

京都府では、「京の食」のブランド力をレベルアップすることで、商品の付加価値を更に高め、より高価格帯で取引される市場を開拓してまいりたいと考えております。

そのため、新たなブランド戦略の方向性として、生鮮品につきましては、京都ブランドの優位性に加え、産学公連携による健康機能性の高い品種や有機農業技術の開発により、消費者ニーズに応える新たな価値を付加していきますとともに、中食などの加工品につきましては、京都のブランド力のある食材を活かした新たな食品の開発や、それらを国内外の市場に流通させるための鮮度保持技術の開発などにより、ブランド価値を高め、新市場での優位性を獲得することが必要だと考えております。

こうした新たなブランド戦略を実現するため、昨年11月に、オープンイノベーションを促進する場として、「京都食ビジネスプラットフォーム」を設置したところであり、本年3月には、加工品開発についてのワークショップを開催し、「プレミアムな中食の創出」をテーマに議論したところでございます。

その中で、例えば、京野菜の生産者と食品製造業者、料理人が連携し、京焼の器と丹後ちりめんの風呂敷もセットにした京都ならではのミールキットを開発するアイデアが生まれ、商品化に向けて検討が続けられた結果、今年の秋から販売が開始されるところでございます。

今後は、プラットフォームで生まれてくる様々なプロジェクトに対してアドバイザリーボードを設置し、新商品の試作、テストマーケティング、実用化の各段階を支援することとしており、必要な予算案を今定例会に提案しているところでございます。

こうした取組により、他県の追随を許さない新たな「京の食」ブランドを確立してまいりたいと考えております。

また、京都ならではのフードテックの取組みとして、「スマート農業などの生産技術」「機能性成分を効率的に摂取できる食品加工技術」「広域的な市場開拓を図るための、鮮度保持技術」などの先端技術の活用に加え、和食のユネスコ世界遺産登録でも示された世界的にも評価の高い「京都の食文化」を融合させることで、より付加価値の高い農産品や加工食品の開発を目指してまいりたいと考えております。

京都府といたしましては、フードテックを活用することで、新たな市場を創出し、府内の農林水産業・食関連産業の発展、成長産業化につなげてまいりたいと考えております。

PAGE TOP