活動報告

農林水産

水産業の振興及び担い手育成についての一般質問の内容

6月21日(金)に一般質問に登壇しました。
先日は、丹後地域の産業振興・国道178号(宮津市日置地区・伊根町間)の強靭化についてアップしましたが、今回は、水産業の振興及び担い手育成についての内容をアップします。
ご覧いただきますようお願い致します。

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水産業の振興及び担い手育成について質問致します。

まずは、ICTの活用による水産業の振興についてお伺いいたします。

府におかれましては、「海の民学舎」による新規就業者の育成など、漁業・漁村の担い手の確保に御尽力いただいているところですが、就業者の減少や高齢化などに対応するためには、漁業の現場における日々の操業の省力化や負担軽減なども重要と考えます。

先般、伊根町の漁業者の方々とお話をしておりますとこのようなことをお聞きしました。「年末年始に定置網に大量のブリが入り、ブリが逃げないように数名で網を縛りにいった。その後、定置作業船を出せる人数を集めて、再び漁に出た。」ということでした。私は、「なぜ定置網に大量のブリが入ったのがわかるんですか。」と聞くと、魚群探知機がついており、常時タブレットでみれるようになっているということでした。

国内の先進的な養殖漁場では、生簀の中で泳ぐ魚の様子を水中カメラで観察し、水温や溶存酸素などの養殖場の環境をセンシングする、そしてこれらをパソコンやスマートフォンなどを通じて陸上からも把握することができるということです。日々の魚の健康状態を判断し、適切な餌の量を決定すれば、手間のかかる餌やりの作業は、生簀の上に設置した給餌(きゅうじ)装置が自動で行ってくれる。このようなシステムの導入が進みつつあると伺っております。

さらに、水産庁においても、産学官の協同によるスマート水産業の推進に向けて、先日、「水産業の明日を拓くスマート水産業研究会」を立ち上げたというような報道もありました。

そこで質問いたします。京都府においてもICTの利活用による効率的・先進的な水産業に転換し生産性を高めることが大変重要と考えますが、こうした水産業のスマート化の取組による府北部の水産業振興についてどのように考えておられるのかお聞かせください。

次に、水産業の担い手育成を担う府立海洋高校の充実についてお伺いいたします。

府立海洋高校は、近畿地方唯一の水産・海洋学科単独の高校であり、丹後・中丹地域はもとより府内・近畿各地からの入学生も多く、多くの団体との連携を通して地域の活性化や地域が直面する課題解決に取り組んでいます。

例えば、府立海洋高校生がおこなう「海洋生1dayレストラン」では、地域の食材を用いた地産地消メニューを提供して毎回好評を博しております。さらに今まで商品価値がつかず捨てられていた魚を素材にしたブイヤベースラーメンなど、海洋高校で開発した料理が地元の飲食店に広がりを見せ、新たな特産物が生まれようとしています。

一方、研究活動では、NTTドコモと連携・協力を進める協定を結び、山間部の休耕田に高級淡水魚ホンモロコの養殖場を再生して、ICT技術を活用した養殖作業における省力化、効率化、生産量を最大化させる研究にも取り組まれています。

このように府立海洋高校は、今後の京都府の水産業の振興という視点でも、未来を担っていく人材を育成する重要な取組をしていただいていると思っております。

そこで質問いたします。このような充実した取組や研究活動を行い、水産業の担い手を育成する一翼を担う府立海洋高校の今後のあり方について、教育長のお考えをお聞かせください。

ここで、海洋高校の生徒確保及び学生生活環境の向上について要望いたします。

丹後地域での人口減少、中学生の減少が続く中で、しっかりと定員を確保し担い手を育成してもらうためには、丹後・中丹地域外からの募集を増やしていく必要があります。 丹後・中丹地域外の生徒が自宅を離れ、海洋高校に通うためには必要なものが寮であります。ただ、入学生は、入寮が確約されないことから、下宿等寮以外で生活する生徒もおられるのが現状です。寮よりも下宿の方が月々の生活費が約2倍高くなることから、水産・海洋分野をはじめ府北部の産業に興味を示しながらも、経済的な理由により受験を断念される方も少なからずおられると伺っています。また、下宿をしている生徒の食生活を支えていた近隣のスーパーが本年1月に閉店したことから、一つ山を越えて、市街地まで自転車を利用して買い物にいかなければならない状況です。そのような状況の中、自宅を離れ、水産・海洋分野を志した生徒たちに充実した学校生活を過ごしてもらうためには寮などの環境向上が必要だと考えておりますので、対応についてご検討いただくよう要望しておきます。

(答弁)

 スマート技術を活用した水産業の振興についてでございます。

 水産業でのスマート技術の活用では、当面、「養殖」と災害で大きな被害を受けた「定置網の防災」に重点をおいて推進したいと考えております。

 養殖分野では、すでに高い評価を得ている丹後とり貝について、増産と品質向上にスマート技術を活用するとともに、サーモンなどの魚種への拡大にもチャレンジしたいと考えております。

 このため、京都府海洋センターにおいて、栗田湾など3つの湾内の水温や酸素・塩分濃度の環境モニタリングデータの蓄積を行い、サーモンを始め養殖魚種毎に最適な漁場の選定につなげてまいりたいと考えております。

 また、定置網での防災システムにつきましては、急な潮の流れによる漁具の被害軽減に向け、潮流を把握し、最適なタイミングで定置網を引き揚げる予測システムの開発と導入を支援してまいります。

 今後も、スマート技術の活用等により、漁業者の収益性の向上や経営の安定を実現させ、魅力ある漁村づくりと水産業振興に努めてまいりたいと考えております。

(教育長答弁)

 中島議員の御質問にお答えいたします。

海洋高校の今後の在り方についてでございますが、海洋高校は、5つの学科・コースを設け、実習船による航海実習や潜水実習、ICTを活用したスマート水産業の研究や高校生レストランなど、様々な特色ある教育・研究活動に取り組んでいるところでございます。

特に近年は、地域の漁場で生態系のバランスを崩す原因となっていたウニを間引き、その殻を堆肥にして販売するなど、地域の水産業の活性化や地域が直面する課題の解決に向けて取り組んでおり、その取組は、全国の研究発表大会で最優秀賞を受賞するなど高い評価を受けております。

今後は、現在行っているスマート水産業の発展につながる先進的な研究活動などをさらに深化させるとともに、現在の多様な教育内容を生かしながら、様々な分野において、地域の企業や他校等と連携した活動を一層充実させることが必要だと考えております。

このため、例えば他の府立高校の専門学科とも連携をして、地域の活性化につながる商品を共同で開発し、地元の振興に寄与するとともに、流通や消費等についての学びを深めるといった取組などを通じ、より幅広い水産業の人材育成を目指していきたいと考えております。

府教育委員会といたしましては、特色ある学びを実践する海洋高校が、日本の産業教育の中核校となれるよう、「地域で学ぶ」「地域と学ぶ」ことを重視した教育内容の充実に向けて、学校の支援に努めて参ります。

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