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文化振興

令和4年12月定例会 代表質問「丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録について」

●令和4年12月定例会 代表質問「丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録について」

12月8日に行われました代表質問にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<一般質問の項目>
・令和5年度予算編成方針について
・大阪・関西万博に向けた取り組みについて
・丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録について
・京都丹後鉄道について
・府北部地域の医療体制について

今回は、「丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録について」の質問を掲載させていただきます。

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(質問)
次に丹後郷土資料館のリニューアルと天橋立世界遺産登録についてお伺い致します。まず、丹後郷土資料館のリニューアルについてであります。
丹後郷土資料館のリニューアルについては、これまでも何度か質問してきましたが、この9月補正予算において、再整備のための設計の予算が計上されました。ご尽力いただいた皆様に心から感謝いたします。

再整備にあたっては、「丹後の歴史文化探訪・観光の拠点となる博物館」をコンセプトとして、歴史感と重厚感ある現行施設の改修を基本としつつ、耐震性の向上と人を惹き付け賑わいを創出するような「機能性」を兼ね備えるとともに、国宝や重要文化財などの「本物の文化財」の常時公開が可能な「公開承認施設」に対応した整備を行うこと、そして、運営面においても外部人材の招聘(しょうへい)なども含めたソフト面の充実を図ること、といった方針が示され、現行施設の改修と併せ、別館を新設することとされました。

このように、丹後郷土資料館の再整備に向けて、具体的に動き出したことに、地元も大いに盛り上がり、大きな期待をしております。
京都府教育委員会においても、予算決定後、速やかに設計作業に着手するため、業者選定のためのプロポーザルを実施し、先日、その業者も選定されたと伺っております。

そこでお伺い致します。
今回のプロポーザルで選定された業者からの提案はどのようなものであったか。また、選定に至ったポイントについてもお伺い致します。

ハードの整備は、具体的に動きだしましたが、資料館のリニューアルを成功させるためには、丹後郷土資料館が今後、どのような博物館を目指すのか、こうした視点も重要であると考えます。

本年8月、2005年から2021年まで、京都国立博物館の館長として、長年博物館の運営に携わっておられ、ICOM京都大会2019の組織委員長でもあった、京都国立博物館名誉館長の佐々木丞平氏を、同館の名誉館長に招聘されました。
佐々木名誉館長には、再整備とリニューアル後の運営について指導・助言を仰ぐ、ということでありますが、今回招聘した佐々木名誉館長のもと、丹後郷土資料館は、今後どのような博物館を目指そうとされているのでしょうか。

また、2020年5月には、文化観光を推進するための、文化観光推進法が新しく成立しました。同資料館が「丹後の歴史文化探訪・観光の拠点となる博物館」として新たに生まれ変われば、この法律にあるように、観光事業者、地域住民の連携が大切であります。文化と観光、地域経済における「好循環」を生み出すためにどのような博物館を目指すのかご所見をお聞かせ下さい。

次に、天橋立世界遺産登録についてであります。

本年は、天橋立が名勝に指定されてから100年、特別名勝に指定されてから70年という記念すべき年であります。指定された理由を探っていくと、いかに天橋立が多くの先人たちに守られてきたのかがよくわかります。

明治時代、天橋立は波や強風のため存亡の危機に陥っておりました。明治28年(1895年)に当時の天橋立を管理する農商務省に知事が松並木の保存を上申されましたが、聞き入れてもらえなかったとのことであります。そこで与謝郡長が公園として管理することを申し出、明治38年(1905年)に与謝郡管理の天の橋立公園が開設されました。時を同じくして、相次ぐ開発などから文化財等を守ろうとする運動が起き、大正8年には文化財保護法の前身の一つである史跡名勝天然記念物保存法が制定され、大正11年3月8日に天橋立は富士山が見渡せる三保の松原などとともに名勝に指定されました。昭和45年には松くい虫防除などの天橋立保存対策事業が始まり、昭和61年にはサンドバイパス工法による砂(さ)嘴(し)の保全が始まっております。

この歴史からもわかるように、天橋立は、京都府あっての天橋立であり、先人の皆様のご尽力に改めて敬意を表します。

現在、天橋立の世界遺産登録へ向けて平成19年から取り組みが進んでおりますが、この活動も、平成16年の台風23号により松並木に甚大な被害があったことから、次世代に天橋立を残していかなくてはならないという強い想いから始まったとのことであります。

 

そこでお伺い致します。

令和3年3月に文化審議会世界文化遺産部会において、「我が国における世界文化遺産の今後の在り方(第一次答申)」が取りまとめられました。京都府として、天橋立の世界遺産登録に向けてどのように考えておられるのか、また、今後の展望についてご所見をお聞かせ下さい。

(教育長答弁)      

中島議員の御質問にお答えいたします。
丹後郷土資料館のリニューアルについてでございます。

 丹後郷土資料館のリニューアルに向け、設計業務についてプロポーザル方式で入札を実施し、12月2日に契約候補者を選定いたしました。

 この主な提案内容としては、まず博物館機能として、国宝・重要文化財の展示や保管を適切に行える「公開承認施設」とすることや、プレミアムで本物志向の「特別展示室」を設置することが盛り込まれておりました。

  また、横一文字の天橋立を一望する「展望デッキ」や、新設する別館に「観光広報ゾーン」や「交流フロア」を整備するなど、新たな付加機能の提案があったところでございます。

  いずれも、施設整備に止まらず、歴史文化探訪・観光の拠点として、丹後地域の魅力を引き出し、エリア全体を活性化させるものとして、外部有識者からも高い評価を得たところでございます。

 次に、再整備後の目指す姿についてでございます。
博物館法の改正により「資料の収集・研究・展示」という役割に加え、担うべき機能は多様化しており、8月に就任いただいた佐々木名誉館長からも「これからのミュージアムは地域活性化のハブを担うべき」との御助言をいただいております。

 このため、今回提案のあった新たな機能を活用し、文化財志向の方、天橋立の展望目的の方、交流フロアの利用者などを、周辺への観光周遊に繋げる仕掛けづくりを進めるとともに、子どもたちの体験学習の場として、また地域交流の拠点として、まさにハブ機能を発揮していきたいと考えております。

 府教育委員会といたしましては、この整備をきっかけに、人の流れをエリア全体に波及させることで、様々なビジネスチャンスを創り出せることができるよう、海の京都DMOや商工会・商工会議所とも連携し、文化・観光、地域経済における「好循環」を生み出して参りたいと考えております。

 

(知事答弁)
 次に、天橋立の世界遺産登録についてでございます。

 天橋立は、多くの先人達によって育まれてきた京都が世界に誇る美しい文化的景観であり、天橋立を保全し、次代に引き継ぎますとともに、その魅力を高めていくために世界遺産登録を目指して行くことが重要であると考えております。

 このため、京都府では、松並木や白砂青松の景観保全に取り組みますとともに、顕著な普遍的価値の証明に向け、調査・研究などを進めてまいりました。 

 議員ご紹介のとおり、昨年3月の文化審議会世界文化遺産部会において、暫定一覧表に掲載すべき資産は、「国際的にも価値が高い資産」であることなどの観点が示されており、世界遺産登録の実現に向けては、国際的な評価の重要性が高まっております。  

 こうしたことから、今年度は、天橋立の国際的な価値を高めていくことに重点を置き、国の世界遺産暫定一覧表への早期登載に向けて、効果的な取組を進めていくこととし、今後、海上に長く続く修道院への参道があることなど、天橋立と共通点があるフランスの世界文化遺産「モン・サン・ミシェル」の関係者を招いた国際カンファレンスの開催を予定しているところでございます。

 今後とも地元市町や「天橋立を世界遺産にする会」、「天橋立を守る会」と連携し、天橋立の歴史的な価値や魅力を広く世界に発信するなど、世界遺産登録の実現に向け地域と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。             

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