活動報告

産業振興

令和3年2月定例会 代表質問「染織産業の振興について」

●令和3年2月定例会 代表質問「染織産業の振興について」

2月17日に行われました京都府議会代表質問にて、以下の項目について、西脇知事に質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<代表質問の項目>
医療体制について / ・北部医療センターについて / ・雇用対策について
染織産業について / ・農林水産業の販売戦略について / ・集落営農について / ・水産業について

今回は、染織産業の振興についての質問を掲載させていただきます。

▼答弁内容の趣旨
・今回のコロナ禍により、丹後ちりめん生産数量は前年から4割減少し、出機の廃業が進むことを懸念しております。
京都府では平成26年度から、丹後織物産地の生産基盤を維持するため、織元である親機が、従業員を雇用し内製化するのに必要となる織機の新設・増設、更新に対して支援を続けており、延べ39の織元が、89 台の織機を導入をいたしました。
今後とも丹後ちりめんの生産能力を維持・継承していくためには、各事業者に継続して仕事があることが必要であり、市場の開拓が不可欠でございます。丹後織物工業組合においては、和装以外の商品試作や販路開拓を推進する「丹後オープンセンター(仮称)」の開設を目指しておられることから、京都府としては、この取組を支援していきたい

・「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム」を設置をいたします。このコンソーシアムにおいて、海外マーケットニーズの把握と、世界市場に向けたブランド戦略の立案、多様な商品を高度な技術で作ることができる社会的分業体制の抜本的な見直しに関する調査検討、世界市場への進出に向けて、マーケット開拓を行う仕組み作り、世界市場に挑戦する産地の枠を超えたグループ作り、そして、それを具体化するための産地ごとの中期行動計画と産地間連携のビジョンの策定に取り組むこととしておりまして、これらを支援するための予算案を今議会に提案しているところ

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(質問内容)

次に、染織産業の振興についてお伺い致します。

染織産業については、コロナ禍の影響により、催事販売等の機会が消失し、たいへん厳しい状況に置かれています。例えば、丹後ちりめんの白生地の令和2年の総生産量は前年と比べると4割も減少したと発表されましたが、この影響は丹後だけにとどまるものではありません。丹後地域では、西陣織の帯地や着物の約7割を生産していることから、丹後での生産が減少したということは、西陣織や京友禅など、京都を代表する織物業についても大変大きな打撃があったのではないかと考えております。

皆様ご存知の通り、京都府には、西陣織・京友禅・京鹿の子紋・京繍・京黒紋付染・丹後ちりめんなど、我が国が誇る素晴らしい技術が集まっており、まさに、日本を代表する染織業の産地であります。

日本の絹織物の歴史を紐解くと、5~6世紀頃までさかのぼり、中国大陸からの養蚕と絹織物の技術渡来に始まります。8世紀に京都に都が置かれると、絹織物の生産を担う役所「織部司(おりべのつかさ)」が 朝廷によって設置され、国営の形で織物業が発展しました。西陣織の呼称は、京都の街を東西に二分した応仁の乱の後、職人たちが再び集まって織物業を始めたのが、かつての西軍の本陣が置かれた場所だったことに由来します。そして、16世紀後半(室町時代末期)には、現在も西陣織の特徴である先染めの糸を使い、色柄や模様を織り出す紋織の技術を確立させ、 17世紀(江戸時代前期)には高級絹織物の産地として興隆を極めます。

着物文化が発展していくにつれ、京友禅や丹後ちりめんなどの技術が発達し、まさに京都を中心として日本の着物文化が発展してきたといっても過言ではありません。

ただ、このコロナ禍において、先ほど申し上げましたように京都の染織産業にも大変大きな打撃があり、改めて課題が浮き彫りになってきたのではないかと感じております。

そこで、新型コロナウイルスの影響が京都の染織産業にも大きな影を落とす中、私自身が実感した課題が大きく2点ございます。1点目は、受注が減ったことで、出機として事業を行ってこられた方々が廃業し、生産能力が低下することが懸念される点であります。出機の方々は、個人で事業を行っておられ、丹後地域では、平均年齢が約70歳ともいわれておりますので、事業者の方々からは、これを機に廃業を考えるとの声もお聞きしております。その様な状況の中、丹後織物工業組合では、マーケットニーズに対応したものづくりと販路開拓を行っていくための「丹後オープンセンター」の開設を検討しておられましたが、西脇知事には、行き活きトークにて丹後地域の織物事業者の方々の思いを聞いていただき、当初予算でも丹後オープンセンターの開設準備支援の予算を組み込んでいただくなど、大変心強く感じているところです。

ただ、丹後ちりめんの生産能力や高い技術を維持・承継していくためには、親機で内製化をどの程度進めていくことができるのかということも今後、大きな課題として顕在化してくるのではないかと考えますが、この点に関し、今後、どのような対策を行っていこうと考えておられるのかお聞かせください。

また、2点目としては、WITHコロナ・POSTコロナ社会に対応して、ますます国内外での市場開拓や、新たな分野への進出などを一層進めていくことが重要になってくるのではないかと思います。

この点、本府ではコロナ社会に対応した、新しいビジネスモデルにチャレンジするため、「コロナ社会対応ビジネスモデル創造事業補助金」の募集を行っておられましたが、西陣織工業組合、京都工芸染匠協同組合、丹後織物工業組合などが補助採択を受けられたと聞き及んでおります。各産地組合は、今後この補助金を活用してどのように業界の振興を図っていかれようとしているのでしょうか。また、コロナ禍で国内の繊維業界全体が厳しい中ではありますが、世界に目を向けますとシルク市場は成長産業と見込まれております。そのため、海外進出や他分野展開を京都の力を結集して推し進めていただき、世界に誇る産地へと発展させていただきたいと考えておりますが、今後の京都の染織産業の将来とその振興をどのように考えておられるのかお聞かせください。

(答弁)
染織産業の振興についてでございます。

丹後地域は、国内最大の絹織物産地でございます。

現在、丹後ちりめん製織事業者の約5割が、織元から、糸と図案データの提供を受けて製織する出機と呼ばれる下請け事業者で、需要の低迷と高齢化のため廃業が進んでおりました。

更に、今回のコロナ禍により、丹後ちりめん生産数量は前年から4割減少し、出機の廃業が進むことを懸念しております。

京都府では平成26年度から、丹後織物産地の生産基盤を維持するため、織元である親機が、従業員を雇用し内製化するのに必要となる織機の新設・増設、更新に対して支援を続けており、延べ39の織元が、89 台の織機を導入をいたしました。 

今後とも丹後ちりめんの生産能力を維持・継承していくためには、各事業者に継続して仕事があることが必要であり、市場の開拓が不可欠でございます。丹後織物工業組合においては、和装以外の商品試作や販路開拓を推進する「丹後オープンセンター(仮称)」の開設を目指しておられることから、京都府としては、この取組を支援していきたいと考えております。

 今年度は、各産地において、コロナ社会対応ビジネスモデル創造事業補助金を活用し、ウェブ販売や着物試着アプリの開発に取り組まれており、新しいビジネスモデルの構築を積極的に支援しております。

また、従来は、産地毎に和装振興事業を展開されていましたが、世界のマーケットを見ると、シルク素材のテキスタイル市場は成長が続いていることから、洗練されたデザイン力を持つ西陣織産地、西陣の織元が考案したデザインを、色彩美豊かに織り上げる丹後織物産地、また、豪華絢爛な染めの技法を持つ京友禅産地、これら3つの産地が一体となって、産地の抜本的な構造改革を進め、世界市場で存在感を持つシルク・テキスタイル産地を目指す機運が生まれております。

危機克服会議におきましても、世界市場で新たな生活文化を提案する力を向上するためには、産地が協働して取り組むことが必要との意見をいただいたことから、3つの産地が連携し「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム」を設置をいたします。

このコンソーシアムにおいて、海外マーケットニーズの把握と、世界市場に向けたブランド戦略の立案、多様な商品を高度な技術で作ることができる社会的分業体制の抜本的な見直しに関する調査検討、世界市場への進出に向けて、マーケット開拓を行う仕組み作り、世界市場に挑戦する産地の枠を超えたグループ作り、そして、それを具体化するための産地ごとの中期行動計画と産地間連携のビジョンの策定に取り組むこととしておりまして、これらを支援するための予算案を今議会に提案しているところでございます。         

京都の染織産地が、和の文化力や技術を生かし、魅力ある商品を創出し、シルクテキスタイルの世界的な産地となるよう全力で支援してまいりたいと考えております。

 

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