活動報告

産業振興

令和2年9月定例会 一般質問「丹後地域の織物業・機械金属業の振興について」

●令和2年9月定例会での一般質問のご報告!
一般質問の機会をいただきました。
①これからのDMOの役割について ②丹後地域の織物業・機械金属業の振興について ③積極採用を行う企業支援について
質問を致しました。

この内、【②丹後地域の織物業・機械金属業の振興について】質問と答弁内容をご報告致します。

織物業は催事等が減少したことで注文が激減し、機械金属業も景気回復の期待感は低く予断を許さない状況にある。コロナ禍で明らかになった課題や未来に向けた明るい兆しを捉え、WITHコロナ・POSTコロナ社会を見据え各産業の振興を積極的に行うべきとの主張を行いました。

部長から、織物業については、
丹後織物工業組合では、バイヤー等への情報発信や営業、生産者とのマッチングの機能を有し、アーカイブ化された各生産者の生地情報を閲覧でき、オンラインを活用して工房見学や商談を行うことなども可能な「TANGO OPEN CENTER(仮称)」の開設を検討しておられ、京都府としてはこの取組を支援することにより、丹後が世界的なテキスタイル産地となることを目指して振興を図ってまいります。

機械金属業については、
会場にいなくてもオンラインでも参加することが可能な、試作品を囲んでの意見交換会や、共同開発に繋がる技術ワークショップの開催、VRやCAE解析などのデジタル技術を用いた、3D加工や材料研究など技術の高度化を活かした新製品開発や設備投資に対する支援が必要と考え、これらの実現に向けて「ものづくり産業臨時総合応援事業」を実施するための予算を今議会において提案しているところであります。

と前向きな答弁をいただきました。

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(質問)
丹後地域の産業振興について、特に織物業と機械金属業に絞って質問させていただきます。

まず織物業についてであります。丹後ちりめんの6月から8月の白生地の総生産量は前年と比べて約6割減少したと発表されました。その要因としては、コロナ禍において、百貨店や小売店、問屋が催事を開けないことから需要が大幅に減少し、産地への注文も減ったとのことであります。加工場の操業は週5日から週3日となり、近年での落ち込みは一番大きいと言われております。

丹後地域は、江戸中期から300年続く国内でも最大級の絹織物産地として、我が国の和装用白生地の7割を生産するとともに、西陣織の帯地や着物の約7割を生産するなど、現在の着物文化を下支えしている重要な産地でございます。

本来でしたら、本年は丹後ちりめん創業300年の年として、様々なイベント等が企画されておりましたが、そうした企画は新型コロナウイルスの影響から、事業計画を見直され、オンラインでの事業展開等、コロナ禍においても積極的に取り組むこととされております。過去の300年を振り返り、そして、これから新たに始まる未来に向けた300年をどうやって歩んでいくのか、コロナ禍で見えてきた課題や兆しをしっかり捉えて、産地の活性化に繋げていただきたいと考えております。

このコロナ禍において、私自身が実感した産地の課題が大きく2点ございます。1点目は、受注が減ったことで、出機として事業を行ってこられた事業者が廃業し、生産能力が低下することが懸念される点であります。出機の事業者の方々は、個人で事業を行っておられ、平均年齢が約70歳ともいわれますので、事業者の方々からは、この機に廃業を考えるとの声もお聞きしており、生産能力を維持していくために親機で内製化をどの程度進めていくことができるのかということも今後顕在化してくる課題ではないかと考えます。
また、2点目としては、これまでにも力を入れてきていただいた「丹後ちりめん創業300年」事業でございますが、WITHコロナ社会にあって、ますます国内外への市場開拓や加工場の効率化が重要になってくることから、地元市町や産地組合と連携して、共同精練施設の見直しやワンストップでの商談機能強化のための「TANGO OPEN CENTER(仮称)」の設立などが一層重要になってきていると考えております。

次に機械金属業であります。丹後地域の機械金属業は、近年、自動車関連部品を中心に成長し、国の調査結果等によると丹後地域の製造業全体の6割程度を占める中核産業となっております。丹後機械工業協同組合が発表された6月の景況調査では、米中貿易摩擦などにより昨年末より悪化しつつあった景況感は、コロナ禍において一層の悪化を辿っており、本年7月から9月の見通しでも景気回復の期待感は低く、予断を許さない状況にあるとされております。

特に、丹後地域の機械金属業はこれまで人手不足が大きな課題となっておりましたが、この調査では、従業員数50人以上の会社が従業員数に関して、過剰であると答えた割合が75%にものぼっており、今後、雇用調整助成金の重要性が一層ましてくると考えられます。また、将来に目を向けると、今は過剰だと答えた企業が多くあるものの、人口減少社会の中、慢性的な人手不足は今後コロナ禍以降においても十分に予想されるため、しっかりと雇用の下支えを行わないといけないと実感しております。

非常に厳しい景況感ではありますが、医療や5G、半導体関係の分野では受注が続いていることや、若い経営者を中心に、加工技術を活かして他分野への展開や自社商品の開発を行っていただいているという前向きなお話も聞いております。このような取り組みは、これまで産地の課題となっておりました、主力商品であるエンジン関連部品の需要が、中長期的には減少していくと見込まれることへの対応に繋がり、コロナ禍をきっかけに一層加速するのではないかと考えております。

そこで質問致します。織物業、機械金属業共に、コロナ禍において見えてきた課題と未来に向けた明るい兆しは何なのでしょうか。また、WITHコロナ社会・POSTコロナ社会を見据えてどのように丹後地域の各産業の振興を行っていこうと考えておられるのか、お考えをお聞かせ下さい。

(商工観光労働部長 答弁)

丹後地域における織物業と機械金属業の振興についてであります。

丹後の織物業は、和装市場が大幅に縮小する中で、コロナ禍の影響により催事販売等の機会が消失し、たいへん厳しい状況に置かれています。
丹後は、しなやかな風合いと上質な光沢感を表現する世界で最も高度な織物の技術を持つ、シルクの高級テキスタイル産地であり、和装用白生地生産において国内シェア70%を占めるとともに、手織りや広幅など織物の技術を進歩させてきました。

このような高度な技術を活かして、海外展示会や他分野への進出に取り組む事業所もあり、海外の有名時計ブランドのバンドに採用された例もあります。さらに、コロナ禍に対応して、マスクの製造や抗菌加工を施した生地の製造に取り組む事業者が現れるなど、明るい兆しも見えております。
このように、丹後で培われた高度な織物技術を今後どのように新商品づくりに活かし、バイヤーやデザイナーに伝え、新たな需要に結びつけていくのかということが大きな課題であります。特に、高級品市場においては、産地の歴史や文化、技術の特徴など、ものづくりの背景にあるストーリーもあわせて情報発信していくことが重要になってまいります。

このような産地の強みや課題を踏まえて、丹後織物工業組合では、バイヤー等への情報発信や営業、生産者とのマッチングの機能を有し、アーカイブ化された各生産者の生地情報を閲覧でき、オンラインを活用して工房見学や商談を行うことなども可能な「TANGO OPEN CENTER(仮称)」の開設を検討しておられ、京都府としてはこの取組を支援することにより、丹後が世界的なテキスタイル産地となることを目指して振興を図ってまいります。

次に、丹後の機械金属業についてであります。

コロナ禍により取引の中心を占める自動車産業が急減速した影響を受け、丹後の機械金属業も厳しい状況にあり、業界団体の6月時点の調査では、9割の企業が受注減少、6割が赤字となっております。

現在も雇用調整助成金等を活用して、何とか雇用を維持されているのが実情であり、週3日や4日に操業短縮される企業もございます。特に、これまで自動車部品関連に頼ってきた企業ほど厳しい状況であり、事業の幅が狭い中小企業の課題が改めて顕在化したと感じております。

このため、京都府では事業分野の拡大を目指し、業種を越えた企業間の連携を促進してきたところであり、自動車部品の加工企業が、高所作業用安全ベルトメーカーと連携し、工場を拡大してベルト部品の製造に着手、精密部品の加工企業が、企業間連携による細胞培養装置の開発で蓄えたノウハウを活かして、植物研究用に種子の自動播種装置を開発するなど、コロナ禍にあっても連携による成功事例が生まれてきております。

WITHコロナ・POSTコロナ社会においては、企業間連携を更に進めることが必要で、オンラインを活用して、新しい連携のきっかけとなる企業間交流や、新規の販路開拓を行うことが有効です。

このため、会場にいなくてもオンラインでも参加することが可能な、試作品を囲んでの意見交換会や、共同開発に繋がる技術ワークショップの開催、VRやCAE解析などのデジタル技術を用いた、3D加工や材料研究など技術の高度化を活かした新製品開発や設備投資に対する支援が必要と考え、これらの実現に向けて「ものづくり産業臨時総合応援事業」を実施するための予算を今議会において提案しているところであります。

これらの取組により、市場の変化に柔軟に対応できる、しなやかな産業構造となることを目指して、丹後地域の基幹産業の持続的な成長・発展に繋げていきたいと考えております。

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