令和6年6月定例会 代表質問「防災減災につなげる森林整備について」
6月定例会にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。
<代表質問の項目>
①魅力ある地域づくりと担い手確保対策について
②中小企業支援と丹後地域の産業振興について
③最先端の地域医療を提供するための拠点づくりについて
④防災減災につなげる森林整備について
今回は、「防災減災につなげる森林整備について」の質問を掲載させていただきます。
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次に、防災減災に繋げる森林整備についてお伺い致します。
昨年8月に福知山市、舞鶴市、綾部市を中心に被害をもたらした台風第7号では、建物の損壊や浸水といった住宅被害は計405棟(ムネ)に上り、甚大な被害がありました。その検証報告書を5月にまとめられましたが、その中で、倒木対策も課題に挙げられております。福知山市大江町などでは山間部の倒木が渓流に流され、谷筋に滞留し、水が溜まって崩壊した結果、土砂とともに下流の集落に流出する被害が起こったとのことで、倒木のおそれのある危険木の撤去など未然防止に取り組むことも盛り込まれておりました。
集中豪雨などによって起こる土砂災害や流木災害の短期的対策としては、治山ダムや砂防えん堤などの整備による対策が必要でありますが、長期的には、森林管理を行うことで、土壌保全、水源涵養といった森林の有する多面的な機能を向上させることが重要だと考えております。
この森林保全を目的とする新税である森林環境税の徴収が今月から順次始まります。年千円の住民税の上乗せは東日本大震災からの復興を目的に行われてきましたが、これが終わり森林環境税に切り替わる形となります。税収は森林環境譲与税として自治体に全額配分され、間伐事業や林業の担い手確保などに充てられます。既に2019年から譲与税は別の財源を使って配分され、新たな森林管理システムの運用が始まっていますが、この間、都市部で使いきれない自治体が出るといった課題が明らかになり、配分の金額が人口割合を30%から25%にし、その分人工林面積の割合を50%から55%とするなど実態に合わせた変更がなされました
この間、京都府では、新たな森林管理システムを支援するため、市町村に対して技術的な支援を行う京都森林経営管理サポートセンターを立ち上げていただき、事業を進めていただきました。その結果、令和5年度までで、林業事業体へ業務を委託し森林整備を行ったのは、12市町村333ヘクタールとなる見込みであり、着実に事業を進めていただいております。また、舞鶴市では、府内最大の木質バイオマス発電所の稼働に合わせて、間伐の際に発生した製材等に向かない林地残材を搬出する費用の一部を補助していただいております。令和4年度は317tの林地残材を搬出していただいたとのことで、林地残材を木質バイオマス燃料として有効に活用することで、豪雨災害等による原木の下流域への流出防止に繋げていただく取り組みも行っていただいており心から感謝申し上げます。
一方、豊かな森を育てる府民税は、森林環境譲与税と使途が重複(ちょうふく)しないよう見直され、防災対策の強化や木材利用の促進などに使途を定め活用いただいております。昨年の台風第7号による被害への対応では、基金から約1億円を取り崩し、倒木対策を行っていただいたとお聞きしておりますし、山地災害危険地区を中心に危険木の除去などきめ細かな対応をしていただいているとのことであります。また、木材の利用促進のために、本年3月には与謝野町で丹後の森や木材の魅力を伝える丹後ウッドフェスが開催され、多数の来場者がありました。
そこでお伺い致します。新たな森林管理システムが始まって5年、府民税の第二期が始まって3年が経過しました。森林整備と防災対策を着実に進めていただいておりますが、まだ取り組みは始まったばかりで、災害が年々激甚化している中で対策を行わないといけない箇所は多数あるかと思います。森林状況の把握や市町村、事業者との連携など、まだまだ課題はあるかと思いますが、今後、効率的に効果的に事業を行っていくためにどのような対策を講じていくのか、ご所見をお聞かせください。
(答弁)
次に、防災減災につなげる森林整備についてでございます。
近年、局地的な豪雨や強風を伴った大雨に起因する山地災害が多発しており、府民の暮らしを守るためには、間伐などの適切な森林整備と、治山ダムの整備や危険木の除去などの防災対策により、森林の持つ災害防止機能を高めることが重要だと考えております。
森林整備につきましては、森林環境譲与税を活用し、管理が不十分な人工林の整備を進めるため、「京都府森林経営管理サポートセンター」による市町村の取組を伴走支援してきた結果、人工林があります21市町村の全てで現況調査に着手され、そのうち17市町村において約3,500haの意向調査が実施されるなど、着実に取組が進んでまいりました。
防災対策につきましては、山地災害危険地区を対象に、人家に近く、緊急度の高い約700箇所から優先して治山ダム等の施設整備を進め、そのうち約170箇所については、豊かな森を育てる府民税を活用し、国庫補助事業の対象とならない倒木等の危険木の除去を講じており、防災対策の一層の強化を図っているところでございます。
加えまして、昨年8月に発生した台風第7号では、山地災害危険地区に指定していない小規模渓流が被災したことから、府民税を活用して速やかに補正予算を編成し、危険木の除去を進めているところでございます。
今般の災害の発生状況を踏まえますと、森林整備の加速化はもちろんのこと、防災対策を講ずべき箇所の洗い出しが急務であり、精度の高い森林情報を把握するため、リモートセンシング技術を取り入れた航空レーザ解析に取り組むこととしております。
具体的には、樹種や樹高、材積など資源情報を正確に把握できることから、府が管理する森林簿や森林計画図の精度向上を図り、市町村や林業事業体が情報共有できる森林クラウドシステムを整備し、境界確定の効率化につなげてまいりたいと考えております。
さらには、地形のおうとつや傾斜、倒木の状況など山地の精緻な情報を活用いたしまして、山地災害の発生リスクが高く、優先的に防災対策を講じる箇所を改めて精査し、早期に山地災害危険地区の見直しを行ってまいりたいと考えております。
今後とも、森林環境譲与税と府民税を活用しながら、市町村や関係団体等と連携し、効率的かつ効果的な森林整備と防災対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。