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令和6年6月定例会 代表質問「中小企業支援と丹後地域の産業振興について」

令和6年6月定例会 代表質問「中小企業支援と丹後地域の産業振興について」

6月定例会にて、以下の項目について、質問しました。
質問内容と答弁内容を掲載しますので、ご覧ください。

<代表質問の項目>
①魅力ある地域づくりと担い手確保対策について
②中小企業支援と丹後地域の産業振興について
③最先端の地域医療を提供するための拠点づくりについて
④防災減災につなげる森林整備について

今回は、「中小企業支援と丹後地域の産業振興について」の質問を掲載させていただきます。
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次に、中小企業への経営支援と丹後地域の産業振興についてお伺いさせていただきます。

2023年度の企業倒産件数が9年ぶりに9千件を超え、府内の倒産件数は10年ぶりに300件を超えたとの報道がありました。増加の要因は、これまで倒産を抑え込んできたコロナ下の支援措置が縮小・終了し、業績の悪い企業の経営が行き詰っていることにあるとのことです。ゼロゼロ融資の元本の据え置き期間を3年に設定していた企業が多く2023年から返済が本格化し、ゼロゼロ融資利用後の倒産は14%増の622件に上りました。また、物価高と人手不足に対応するための賃上げがコスト増加の要因になり、経営を圧迫しているという声もあります。東京商工リサーチが2月に実施した調査によると原材料や燃料費などの高騰分を「全額転嫁できている」と答えた割合はわずか4%にとどまった一方、価格転嫁が「できていない」と回答したのは38%にのぼったとのことであります。2024年度はさらに倒産が増える公算が大きいと考えている専門家もあるようで、物流業界の人手不足に伴う運送コストの上昇が幅広い産業に波及すると指摘されております。

その様な状況の一方で、新興企業の資金調達額は増加傾向にあり、事業継承M&Aも広がりを見せております。

これまでから京都府では、ゼロゼロ融資の無利子期間の終了と、融資返済の本格化を見据え「伴走支援型経営改善おうえん資金」を創設し、融資の借換えに対応いただくとともに、金融機関と商工会等がチームで伴走支援する全国にも例のない「金融・経営一体型支援事業」を府内全域で立ち上げ、資金繰りと経営改善の両面から支援体制の強化を図ってきていただきました。時機を逸することなく、対策を講じていただいたことに大変心強く感じております。

そこでお伺い致します。
先日、丹後地方商工団体連絡協議会の総会の中で、大企業は賃上げができているが、中小企業は、物価高騰を価格転嫁できておらず賃上げは厳しい状況にある。大企業と中小企業で賃金の格差が広がれば、人材確保も難しさが増すというお話をお聞きしました。
コロナ禍が終わり、急激なエネルギー・物価高を迎える中で、中小企業が賃上げの原資となる利益を確保し、持続的な成長を実現できるかどうかが、京都経済の好循環を生み出す大きなポイントになると感じています。この様な時期に、京都府の中小企業の事業継続をどのように支えていこうとされているのか、また、後継者の確保に悩む中小企業が、これまで培ったノウハウや技術を活かし、事業継承を機に更なる成長を遂げるなど、前向きな新陳代謝を促す環境整備が必要とも考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。

次に丹後地域の産業振興についてであります。

新型コロナが5類に位置付けられ1年が経ち、経済の状況も大きく変化してきました。丹後地域の産業をみておりますと、人の流れが戻ってきたことで、観光業は急回復している一方、物価高騰や人手不足・高齢化などで、織物業や機械金属業はまだまだ厳しい状況にあるように感じております。
そこで、まず観光業についてお伺い致します。宮津市の調査によると令和5年に宿泊した外国人観光客が前年の約15倍に達し、新型コロナ禍前の令和元年を超えて過去最多となったとのことであります。観光消費額は宿泊費の増加が寄与し、前年比39・3%増の117億4142万円。1人当たりの消費額は物価高の影響を受けて16・9%増の4249円といずれも過去最高となったとのことで、観光事業者の方々とお話すると厳しかったコロナ禍が終わり、明るい兆しが見えてきているように感じています。

ただ、多くの観光客が訪れる一方で、伊根町では、道幅の狭い地域に大型の観光バスやマイカーが乗り入れて渋滞が起きるなど、地域住民の生活と観光振興の両輪を如何に上手く回していくのかが今後の課題としてあげられております。

今後も訪日客の増加が期待される一方、交通渋滞などの対策の強化を求める声もある中で、丹後地域全体の出受け入れ態勢の強化や周遊促進などの施策が必要になっていると実感をしておりますが、ご所見をお聞かせください。

次に、織物業であります。コロナ禍で大変厳しい状況が続く中で、京都府では、コロナ禍や物価高騰・資源高により厳しい状況にある織物事業者を支援するため、シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアムの事業として、西陣・京友禅・丹後の産地連携を進め、新商品開発や海外への販路開拓を支援するほか、生産基盤への支援など大変心強い支援をいただいております。ただ、丹後織物工業組合が発表している丹後ちりめんの生産量によると、令和5年は14.7万反であり、前年度比92%、コロナ禍前の令和元年と比較すると58%となっており、年々生産量が落ち込む状況が続いております。特に、丹後地方の生産体制の中心である「出機織り」の事業者には大変厳しく、廃業される事業者も出てきております。一方で、西陣・京友禅・丹後の産地連携では、サリーや建材など新たな商品開発・販路開拓も進んでおり期待しているところです。そして、産地間連携を進める中で、京都府織物・機械金属振興センターと京都市産業技術研究所との連携も重要になっているとの声をお聞きしております。技術相談の連携もさることながら、機料品の調達やマーケットに求められる商品開発を両機関が連携しながら進めていただけると事業者にとって心強いのではないかと考えております。

 そこで、丹後地域の強みである事業者の集積や織機の台数などを維持し、産地間連携をしながら新商品の開発や販路開拓を行い、織物業を次代へ繋いでいくためにどのようなことが必要とされているのか、ご所見をお聞かせください。

次に、機械金属業であります。
丹後地域の機械金属業は、近年、自動車関連部品を中心に成長し、国の調査結果等によると丹後地域の製造業全体の6割程度を占める中核産業となっております。京都産業21が発表した北部機械金属業界の景況動向によると、2024年1月から3月期の業況判断DI値は、マイナス45.6となり厳しい状況が続いております。また、4月から6月期のDI値においては、マイナス43.2という状況です。これは、海外経済の減速や原材料や電気代などのエネルギー高、人件費の上昇などによるもので、引き続き低調に推移するという見方をされております。

非常に厳しい景況感ではありますが、若い経営者を中心に、加工技術を活かして他分野への展開や自社商品の開発を行っていただいているという前向きなお話も聞いております。このような取り組みは、これまで産地の課題となっておりました、主力商品であるエンジン関連部品の需要が、中長期的には減少していくと見込まれることへの対応に繋がるものと期待しているところです。

丹後地域の機械金属業の振興のために、新たな分野への展開、そして販路開拓などの支援が大切かと考えておりますが、ご所見をお聞かせください。また、これは織物業も同様ですが、来年開催される大阪・関西万博へ向けて丹後地域の産業発展につなげていく取り組みについてお考えをお聞かせください。ここまでのご答弁をお願い致します。

(答弁)
次に、中小企業への経営支援と事業承継支援についてでございます。

 中小企業を取り巻く環境は、物価高騰や人手不足など厳しい状況が続いており、中小企業が困難を乗り越え、事業を継続していくためには、企業の生産性や商品・サービスの付加価値を高めることが重要だと考えております。

 このため、2月定例会において御議決いただいた予算を活用し、賃上げに繋がるよう伴走支援の拡充を図りますとともに、AIやロボットなどの導入による生産性向上や、海外展開を見据えた新商品開発、販路開拓への支援制度を創設したところでございます。また、事業承継につきましては、厳しい経営環境にある企業において、後継者問題の解決と事業の再構築を同時に進める必要があります。これまで、事業承継・引継ぎ支援センターが中心となり、企業の技術と資産等の棚卸しに加えまして、企業評価に基づくマッチング、債務の返済計画の策定や、経営者個人の資産・経理の分離など、法務・税務・財務等の専門性を活かした承継支援を行ってきたところでございます。今年度は、事業の再構築を図り、中小企業が事業承継を機に更なる成長を遂げられるよう、新たに、金融機関と商工会等の経営支援チームに加え、事業承継と経営改善を一体的に支援するオール京都の体制を構築したところでございます。

今後とも、中小企業が継続・発展できるよう、総合的な支援に全力で取り組んでまいりたいと考えております

 次に、丹後地域の観光産業についてでございます。

 インバウンドを中心に観光需要が急速に回復する中、丹後地域においても賑わいを取り戻す一方で、特に伊根浦など一部の観光地においては、交通渋滞の発生や路線バスの混雑など、地域住民の生活に影響が生じていると認識しております。これまでから、観光客の集中する時期に、伊根町観光協会が臨時駐車場の開設や誘導員の配置を行うほか、丹後海陸交通が臨時バスを運行するなど、渋滞回避や混雑緩和の対策を進めておられます。こうした取組は一定の効果を発揮しておりますが、今後さらなる観光客の増加を見据えますと、観光の分散化や住民生活と観光との共存など、持続可能な観光の実現に向けた取組が重要だと考えております。
 そのため、今年度は観光庁の補助事業を活用し、海の京都DMOや地元市町などと連携しながら、観光の分散化を図るため、伊根浦と天橋立、宮津市街地を結ぶ海上航路の就航、京都駅から夕日ヶ浦、伊根浦を周遊するバスの運行に向け、準備を進めているところでございます。また、住民生活と観光の共存に向けて、天橋立での手ぶら観光、舟屋から離れた場所で車から無料シャトルバスに乗り換えるパーク&ライドの導入などにも取り組むこととしております。

今後とも、受け入れ態勢の強化や周遊の促進に加えまして、観光客へのマナー啓発の取組も含め、住んでよし、訪れてよしの観光地づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、丹後織物の振興についてでございます。

 丹後は、シルクテキスタイルの産地として300年以上の歴史を誇り、我が国全体の約70%に当たる白生地の生産により、全国の和装産業を支えております。また、古代から残る藤織りや、螺鈿織、金属織など多種多様な織物を生産できることが強みでございます。しかしながら、国内の和装市場が縮小する中で産地の存続を図るためには、強みを生かし、海外のニーズにも応じた商品づくりを行うことが重要だと考えております。昨年度には、世界のファッション拠点であるミラノのクリエイターとともに商品を開発し、丹後織物をミラノの展示会に出展をいたしました。展示会では高い評価をいただく一方、海外市場では、織物の魅力を文化や歴史的背景などのストーリーと一体的に発信していくことが重要だと認識したところであります。

 そのため、市町や地元のツアーガイド等と連携し、海外からのバイヤーやクリエイターに外国語で丹後織物の魅力とストーリーが説明できる語り部の育成、多言語ホームページやSNSを活用した発信に取り組むこととしております。また、防炎性能や耐摩耗度など欧州の高い品質基準をクリアするため、化学メーカーや、府市の公設試験研究機関の連携による研究を進めてまいりたいと考えております。併せまして、複数に跨る工程の集約化や、外部委託の内製化を支援することで、職人の雇用維持や織機の存続、製織や関連工程技術の継承を図り、京都が世界に誇る織物業を次代に繋いでいくため、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、機械金属業の振興と大阪・関西万博へ向けた取組についてでございます。

 丹後の機械金属業は、高い精度や耐久性が求められる大手自動車メーカーのエンジン関連部品の産地として成長してきました。
切削加工や鍛造・鋳造・熱処理等の技術が集積し、少量多品種な特殊加工にも柔軟に対応できることが丹後の強みであり、今後、この強みを生かして新たな柱となる分野を開拓することが重要だと考えております。そのため、京都府では、丹後機械工業協同組合や京丹後市、京都産業21とともに「丹後機械金属業振興推進チーム」を昨年2月に発足し、検討を進めてまいりました。

その中で、丹後が培ってきた技術と対応力との親和性が高く、丹後の企業や働く方々に夢を持っていただける新しい成長分野として、宇宙ビジネスへの参入に向けた取組をスタートしたところでございます。宇宙ビジネスでは、宇宙空間での輸送や月面走行など、幅広い分野でスタートアップが増加しており、高い技術力を持つ中小企業とのマッチングを希望されていることが分かりました。そのため、今年度、宇宙分野のスタートアップ企業向けのオープンファクトリーを丹後地域で実施し、技術や製品に実際に触れていただく機会の創出を図りたいと考えております。

さらに、大阪・関西万博を好機と捉え、丹後の機械金属業とのビジネスマッチングのための誘致ツアーも計画しており、同様に世界に向けて産地の強みをPRしたい丹後織物とも連携をし、丹後地域の産業発展につなげてまいりたいと考えております。

 

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