●令和2年9月定例会での一般質問のご報告!
一般質問の機会をいただきました。
①これからのDMOの役割について ②丹後地域の織物業・機械金属業の振興について ③積極採用を行う企業支援について
質問を致しました。
この内、【①これからのDMOの役割について】質問と答弁内容をご報告致します。
コロナ禍以降、ワーケーションという概念が注目されている通り、私たちの社会における働き方の変化や価値観の変化は、都市から地方への人の流れを一層加速させる大きな可能性を秘めています。海・山・川などの自然豊かな地域は日本中に数多くありますが、他の地域に先駆けて、こうした社会の変化を捉え、そして、それを地域の発展に結びつけていくためには、府と市町村との連携が欠かせません。観光振興だけではなく、地域振興という観点で、その中核的な役割を果たすべきだという考えで質問しました。
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(質問)
自民党議員団の中島武文です。
通告に従いまして一般質問を行いますので、積極的なご答弁を宜しくお願い致します。
はじめに、これからのDMOの役割についてお伺い致します。
京都府では、府・市町村・地域が一体となって、平成25年からの海の京都事業を始めとした、「もうひとつの京都プロジェクト」の取組みを進め、その中で、各地域のDMOが中心的な役割を果たすことにより、府内各地の観光に関する指標は順調に上昇し、民間資本の新規投資や地域主導によるイベントの開催に結びつくなど、着実に観光地域づくりが進んできたと実感しております。
例えば、私の地元である海の京都エリアでは、丹後ちりめん回廊の日本遺産認定を契機とした本格きもの体験など、様々なコンテンツの磨き上げや天橋立・成相寺などのライトアップ、クルーズ船乗客へのツアー造成の他、インバウンド事業も積極的に推進していただき、平成25年と令和元年を比較すると観光消費額は約1.2倍、外国人宿泊者数は約4.6倍となっております。
ですが、コロナ禍以降、インバウンドについては、渡航制限により外国人旅行者は激減し、特に平日の誘客は外国人観光客に頼っていたこともあり、観光地は閑散とした状況であります。また国内旅行については、感染リスクを避けるために混雑を回避する傾向があり、感染拡大防止対策を行いながら観光を楽しむ方法を全国的に模索している状況にあると思います。その様な状況の中で、自宅から1、2時間圏内で旅行を行うマイクロツーリズムやワーケーションといったフレーズを耳にする機会が増えており、WITHコロナ時代の新たな兆しとして、社会的に注目されていると実感しております。
また一方で、ポストコロナ社会に向けて、テレワークがどの程度定着するのかは見極めが必要かとは思いますが、私自身は、大企業でテレワークを進めることができる業種を中心に進んできた働き方改革は、今後あらゆる業種、そして企業の規模の大小を問わず広がりを見せていくこととなり、社会全体の価値観や消費行動の変化などとともに、ワーケーションやサテライトオフィスなどでの働き方や休暇の取り方が一層進んでいくことが予想されると考えております。
コロナ禍以前の昨年11月には、舞鶴市も加わっている「ワーケーション自治体協議会」が全国65自治体で創設されましたが、本年9月1日時点で103自治体と、この短期間で1.5倍以上へと増加しています。また、「世界を旅して働く」をコンセプトとして定額制住み放題サービスを運営する会社が昨年から注目されておりましたが、6月以降鉄道会社等と提携したことも相まって、会員数は大幅に増えていると伺いました。
コロナ禍以降、舞鶴市や綾部市などは空き家に関する問い合わせが増えていると聞いており、豊岡市では、城崎町にある住宅を利用しテレワークモニターを募集するなど様々な取り組みが広がっております。
こうした流れが社会全体で進めば、今後は、いわゆる観光以上の日数を、その地に滞在するが、移住するまではいかないという、観光以上移住未満の交流が一層進むのではないかと予想され、そこから移住につながることも期待しているところです。
また、京都縦貫道をはじめとする高速道路網の整備などにより、「もうひとつの京都エリア」については、年々、京阪神からのアクセスが良好になってきましたし、各エリアが有する魅力やポテンシャルは十分にあると思います。一方、課題としては、法整備はもちろんのこと、ワーケーションやサテライトオフィスの誘致を行っていく上で、コワーキングスペースや拠点となる施設の整備などを、地域でどのように進めていくか、ということが上げられるのではいかと考えます。
このような状況の中、これまでDMOが取り組んできたインバウンド事業や旅行プランの造成はもちろん大切なことではありますが、コロナ禍以降の社会変化に対応し、ワーケーションの推進やサテライトオフィスの誘致、さらには、移住への取り組みなど、地元自治体と協調の上、DMOの取り組みの幅を広げていくことが必要な時期にきているのではないでしょうか。
そこで質問致します。コロナ禍以降、ワーケーションという概念が注目されている通り、私たちの社会における働き方の変化や価値観の変化は、都市から地方への人の流れを一層加速させる大きな可能性を秘めています。海・山・川などの自然豊かな地域は日本中に数多くありますが、他の地域に先駆けて、こうした社会の変化を捉え、そして、それを地域の発展に結びつけていくためには、府と市町村との連携が欠かせません。観光振興だけではなく、地域振興という観点で、その中核的な役割を果たすことができる可能性を持つのがDMOであると私は考えますが、これからのDMOの役割についてどのようにお考えかお聞かせください。
(知事答弁)
中島議員の御質問にお答えいたします。
これからのDMOの役割についてでございます。
京都府では、観光を入口とした地域主導による持続可能な地域づくりを進めるため、交通インフラに加え、地域ごとに発信力・集客力のある観光の戦略拠点の整備に取り組むとともに、海・森・お茶の京都DMOを市町村等とともに設立し、データの収集・分析、観光戦略の策定、地域資源の磨き上げや商品化、広域プロモーションやインバウンド誘客などに取り組んできたところでございます。
これらの取組の結果、平成25年から令和元年までにもうひとつの京都エリア全体で、観光入込客数は、1.3倍、観光消費額は、1.4倍、外国人宿泊者数については、4.7倍に増加するなど、着実な成果が現れてきております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光客が激減した状況下において、この7月に関西2府4県在住者を対象に実施した「京都のお宿で魅力再発見キャンペーン」では、各DMOから地元の宿泊事業者に対して積極的な参加を呼びかけた結果、約3万5千人以上の方が利用されるなど、DMOが観光面で役割を果たしたところでございます。
しかしながら、観光以外の分野においては、伝統工芸品の海外への販路開拓支援や、福祉施設と農家が連携した商品開発の支援等の取組を実施をしておりますが、観光を入口に他産業にまで経済効果を波及させるという観点では、まだまだ十分な役割を果たしているとは言えない状況でございます。
加えまして、WITHコロナ・POSTコロナ社会を見据えれば、議員御指摘のとおり、テレワークやサテライトオフィスを活用し、豊かな自然や文化、魅力的な食材の揃っている地方でも「働ける・暮らせる」ことへの関心が高まっている現在の状況は、「もうひとつの京都」エリアにとって、大きなチャンスであるといえます。
こうした中、DMOが、農林、福祉、交通、文化など幅広い分野の関係者との連携を一層強化し、単なる観光客数の増加だけではなく、地域のファンになっていただき、何度も訪問してもらえるリピーターを増やし、さらには中長期の滞在から定住へとつなげていくことの重要性が、以前よりも増していると考えております。
このため、まずは、6月補正予算でお認めいただいた3つのDMO共通顧客データベース構築の予算を活用して、「もうひとつの京都」エリアに来ていただいた方を地域の顧客として登録し、個人それぞれに適した地域情報を提供することで、着実にファンを増やしてまいりたいと考えております。
また、中長期滞在型の新たな宿泊施設や、恵まれた自然の中で働けるオフィスを整備するため、民間事業者が行う地域に眠る古民家等の改修・運営などを、3つのDMOと地元金融機関が連携して支援する「地域づくりファンド(仮称)」の創設に係る予算も今議会に提案しているところでございます。
今後、DMOは、こうしたWITHコロナ・POSTコロナ社会を見据えた事業の充実・強化を通じて、これまで以上に市町村も含めた幅広い分野の関係者と連携し、地域主導による持続可能な地域づくりを進める中核的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
(答弁への返答)
ご答弁いただきました。国においてもワーケーション、そして、サテライトオフィスの誘致に係るテレワーク環境の充実へ向けた施策の検討が具体的に進んでいると実感しております。国との協調はもちろんのこと、これからも京都府から地方創生の流れを牽引するような取り組みを積極的に行っていただきますようお願い致します。